2004年03月28日
川俣晶の縁側過去形 本の虫感想編 total 4007 count

濃爆おたく大統領 2 徳光康之 講談社

Written By: 川俣 晶連絡先

 まるで戦場まんがシリーズのように、故障したコピー機のワイヤーの一部になる男。普通のオタク漫画家なら絶対に使わない松本ネタですね。素晴らしいです!

 いきなり口走るポリマーの「ホラマー」。タイフーンホラマーですよ。ホラマー最高! 君もホラメットをかぶってホラマーに変身だ!

 ビデオが高くてアニメをラジカセで録音、というのもやりましたよ。子供の頃に、やりました。懐かしいですね。

 「ウリクペン救助隊って火曜日に出発の号令かけたヤツが必ず土曜日に功労賞もらってたよね」というのも最高。ウリクペンなんて、ぜんぜん話題になっていないから、リアルタイムで見ていた世代しか分からないと思います。それが飛び出すのが最高!

 デリケートにアニして、というのも、クリーミィマミの歌のタイトルのパロですね。

 カバー裏にも、漫画を収録。しかし、小さすぎて非常に読みにくいです。

 そして、やっと目覚めたレンレンジャーレッド! これが笑いました。

 作者は昭和38年生まれだそうですが、1年違いですね。ネタが私のツボにはまる訳です。ですが、これは同年代のオタクならツボにはまる、ということではありません。おそらく、同年代のオタクでもこれについて行けない人は多いと思います。ホラマーが分からない人は、珍しくないと思います。ツボにはまるというのは、むしろ、あの当時の子供としての行動パターンが似ている、と言った方が適切かもしれません。その点で、親近感を感じるし、私は凄く面白いと思いますが、いかんせん、メジャーになれるはずがない作品とも言えますね。

ある意味でオタクですらない価値観 §

 この本は、タイトルに「おたく」の文字を冠していて、そういう内容について書かれているように見えますが、その実、今時のオタクとは隔絶した別の何かを包含しているように思われます。それが、本来オタクに受ければオタク界のメジャーになれるはずなのに、そうなっていない理由ではないか、という気がします。しかし、既成の秩序をはみ出すのは、本来のオタク(第1世代オタク)の必須要件であって、オタクという価値観をはみ出すことは、今のオタクではなく、本来のオタクの証と見ることもできるし、逆に言えば、これだけオタクネタを連発しながら、実は今時のオタクではないという見方もできるかもしれません。